世界柔道選手権といえば、通常は金メダルや決勝戦の記憶が先に浮かぶ。しかし2026年バクー大会では、畳の外にも注目すべき光景があった。
アゼルバイジャン柔道連盟は、市内各地にファンゾーンを設置し、その一つとしてデニズモールにも特設スペースを開いた。ここでは柔道クイズ、パズル、記念撮影エリア、景品企画などが行われ、来場者には特別デザインの象徴的な「柔道パスポート」も配られた。クレセントモール、28モール、ガンジェリクモールでも同様のファンゾーンが運営された。
もちろん、それは本当の渡航書類ではない。だが大会の記念品として、また参加型の仕掛けとして、ファンが「観る人」から「参加する人」へ変わるきっかけになった。大規模な世界大会が、競技会場の外でも柔道に触れる入口をつくっていたことは興味深い。
ファンゾーンでは、アゼルバイジャン初の柔道世界王者であるエルハン・ママドフの柔道衣も展示され、地元柔道の歴史を感じさせる演出も用意された。さらに、オルハン・サファロフが現地でファンと交流し、写真撮影にも応じた。サファロフはヨーロッパ王者であり、世界選手権のメダリストでもある。
一方、会場内では国際柔道連盟が展開したミート&グリート企画が盛況だった。8日間にわたり、多くの観客が列をつくり、世界のトップ選手やメダリストと直接会う機会を楽しんだ。IJFは、嘉重春樺、田嶋剛希、イリア・スラマニゼ、そしてラシド・ママダリエフらアゼルバイジャンの選手たちの参加を紹介している。
嘉重は、ファンとの交流も日本代表が柔道の精神を伝え、世界に柔道コミュニティを広げていくための大切な活動の一つだと語った。この言葉は、バクーで行われた場外企画の意味をよく表している。
世界選手権は、畳の上で誰が勝者になるかを決める場であると同時に、柔道を社会へ、街へ、ファンへと広げていく場でもある。バクーのファンゾーンとミート&グリートは、そのことをはっきり示していた。



