香港島西部、香港大学周辺で、留学生が1〜2年暮らしたあとの部屋を見たことがある人なら、ある現実的な問題に気づくかもしれません。学業の能力が高く、十分な教育を受けていても、基本的な生活常識や自立する力が驚くほど身についていない若者が少なくありません。

しかし、これは留学生だけの問題ではありません。

香港で育つ地元の子どもたちも、同じくらい深刻です。

今の子どもたちの中には、幼い頃からほとんど家事をする必要がない子も多くいます。服は誰かが洗い、食事のあとは誰かが片づけ、部屋も誰かが整え、物を床に置いたままにしても誰かが拾ってくれます。

その結果、本から多くの知識を学んでいても、基本的な生活常識や、自分のことに責任を持つ習慣が十分に身についていないことがあります。

だからこそ、私たちは今の子どもたちに柔道が必要だと考えています。

柔道は、ただ相手を投げる方法を学ぶものではありません。

道場では、自分の柔道着を整え、自分の持ち物を片づけ、ルールを守り、先生や仲間を尊重します。倒れたら自分で立ち上がり、間違えたらもう一度やり直します。

いつまでも誰かが代わりにやってくれるわけではありません。

一見すると小さなことですが、こうしたことこそ、現代の子どもたちの生活から少しずつ失われている大切な教育です。

柔道は単なるスポーツではありません。柔道が教えているのは、多くの場合、そのまま「生きること」なのです。