中村美里が自身のYouTubeチャンネルで、フランスのJudo Pro League Final Fourを現地から紹介した。パリ五輪女子57kg級銅メダリストの舟久保遥香がAC Boulogne-Billancourtの一員として出場したことも大きな見どころだが、香港柔道にとってさらに興味深いのは、この大会が柔道の団体戦そのものを「シーズンを通して追いかけるリーグ」に変えている点である。
Judo Pro Leagueは2022年に創設された、フランス初の男女混合プロスポーツリーグ。2025-2026シーズンの予選には18チームが参加し、各チームはホーム2試合、アウェー2試合の計4試合を戦う。上位8チームが準々決勝へ進み、その後Final Fourで優勝を争う。
チーム戦は男女合わせて10階級。女子は52kg、57kg、63kg、70kg以下級と70kg超級、男子は66kg、73kg、81kg、90kg以下級と90kg超級で構成される。男女の勝敗が同じチームスコアに加算され、規定の範囲内で外国人選手を登録することもできる。
観客を意識したルールも特徴的だ。試合時間は5分で、中間に30秒のタイムアウトを設定。予選では引き分けが認められる一方、決勝トーナメントではゴールデンスコアが採用される。さらに、10試合を終えてもチーム間の勝敗が決まらない場合、準々決勝以降は階級を抽選し、その階級でもう一度決定戦を行う。
今年のFinal Four準決勝では、AC Boulogne-BillancourtとArts Martiaux Saint-Gratienが5-5で並び、抽選の結果、女子57kg級が決定戦に選ばれた。再び畳に上がった舟久保はMailys Rozanから技ありを奪い、ACBBを6-5の勝利と決勝進出へ導いた。
決勝のJudo Nice Métropole戦でも舟久保は存在感を示し、Ophélie Vellozziを腕挫十字固で下した。ACBBは最終的に6-4で勝利し、Judo Pro League初参戦のシーズンでタイトルを獲得した。
中村の映像からは、公式結果だけでは分からない会場の雰囲気も伝わる。試合開始前から観客が列を作り、会場では音楽や照明、演出を積極的に使用。伝統的な柔道大会とは異なる見せ方でありながら、競技そのものの魅力は失われていない。
香港にとって参考になるのは、まさにこの部分かもしれない。香港の柔道大会は、現在も一日完結型の個人戦や従来型の団体戦が中心である。しかしフランスの例を見ると、柔道の技術や精神を変えなくても、クラブ単位のリーグ、男女混合チーム、複数日の対戦、順位表、外国人選手、会場演出、そして決定戦という仕組みを加えることで、観客が選手やチームを継続して応援しやすい環境を作ることができる。
香港がフランス方式をそのまま導入する必要はない。複数の道場やクラブによる小規模なリーグでも、男女が同じチームで戦い、数回の大会を経て最後に決勝戦を行うだけで、年に一度の大会とは異なる物語を生み出せる可能性がある。
柔道そのものを変える必要はない。変えられるのは、その見せ方である。

